誰からも愛され続けるデザインの本質とは

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フェラーリって知ってます??

こんな質問をすると「バカにするな!」と言われるほどの知名度です。

私の年代(昭和50年生まれ)の人たちは、特に知らない人は居ないのではないでしょうか?

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子供の頃、世界のスーパーカーのような絵本にもカウンタックランボルギーニと並び記憶に残る車。

わたしが子供の頃から変わらぬ普遍性と不変性の中で生きるフェラーリとはどのようにしてつくられるのか。

そこにある哲学とは何なのかを考えてみました。

フェラーリというスーパーカーをデザインするデザイン工房のピニンファリーナ。

ピニンファリーナを創業したバチスタ・ピニンファリーナは、何度でもスタジオに足を運び、クルマのデザインを「もっとシンプルにしろ」と言い続け、デザイナーたちは「これ以上シンプルにしたら、何もなくなっちゃう」と頭を抱えたそうです。

そして自分の気に入らないデザインができてきたら、できあがった車でも鉄の斧で潰してしまう。

完成車を潰されたら、とにかくやり直すしかありません。

それほど厳しい人だったという話です。

そういう「シンプルさを追求する姿勢」というのは今のピニンファリ ーナにも残っています。

日本の伝統文化は、禅に代表されるようにシンプルさが特徴です。

ぼくはピニンファリーナの追及するシンプルさと、日本の伝統文化は、どこか共通するものがあると、子供のころから感じていました。

デザインを追求すると辿り着く境地が「シンプル」

ここに普遍性があり、デザインという文化を掘り下げるキーポイントがあると思う。

シンプルに作ることの難しさ。

これはデザイン全般について言えることですが、あっさりして見えるものがあっさり作られたかというと大間違いなんです。

デザインした人の執念が実を結んでいるから、あっさり見えるんです。

それに、シンプルに見えるものの造りがシンプルかというと、決してそんなことはありません。

ものすごく複雑なものを、整理してつじつま合わせをして、いろいろなところまで気を配って作ると、最後にはすごくシンプルに見えるものです。

その証拠に、細かいところをよく見てみると、決してシンプルではないことが分かるはずです。

<中略>

これはよくデザインの学生に言うことですが、「あっさりとものを作って、それでシンプルなものができると思ったら大間違いで、どんどん複雑になるばかりだ」というわけです。

エゴをゴリ押ししてでも、各方面と喧嘩してでも、自分のビジョンを貫いてシンプルなものを作る。

それが作り手の役割だし、それで結果として生産現場も満足するはずです。

奥山清行 フェラーリと鉄瓶より

シンプル性に備わる美しさを追求するのは

デザイナーにとっての究極の課題なのかもしれません。

あのスティーブ・ジョブズも「シンプル」という美しさを追求したひとりです。

ジョブズはまた、アップルはすっきりとシンプルな製品にすると繰り返し強調した。

「明るくピュアな製品、ハイテクらしさを包み隠さない製品とします。

ソニーのように、黒に黒に黒に黒の工業製品的外観にはしません」

「当社はこのようなアプローチとしています。とてもシンプルです。

また、近代美術館に収められてもおかしくない品質をめざします。

会社の経営、製品の設計、広告と全てをシンプルにするのです。とてもシンプルに」

PCの世界でもずば抜けたビジュアルとデザイン性を持つアップル。

ジョブズは美しさの究極が「シンプル」だということに確信があった。

奥山氏が語ったように、そこには日本の伝統文化「禅」が大きく存在しているのかもしれません。

何を隠そう、ジョブズも「禅」とは深い関わりを持っている。

禅を通じて知り合った友人、ダニエル・コトケがジョブズと過ごした日々を語っている。

「とても楽しかったことを覚えています。哲学的もありました。

また、私たちは禅とまじめに向き合っていました。」

ジョブズは図書館に通い、コトケと一緒に禅の本をたくさん読むようになる。

鈴木俊隆(すずき しゅんりゅう)の『禅へのいざない』やパラマハンサ・ヨガナンダの『あるヨギの自叙伝』、リチャード・モーリス・バックの『宇宙意識』、チョギャム・トウルンパ・リンポチェの『タントラへの道-精神物質主義を断ち切って-』などだ。

<中略>

ジョブスにとって禅宗を中心とする東洋思想に傾倒したのは一時の気の迷いでも若気のいたりでもなかった。

いかにも彼らしい激しさで追及し、東洋思想を自分の中に取り込んでいく。

<中略>

「スティーブは禅と深くかかわり、大きな影響を受けています。

ギリギリまでそぎ落としてミニマリスト的な美を追求するのも、厳しく絞り込んでゆく集中力も、皆、禅から来るものなのです。」

美への追求と禅は深い部分で結びついている。

シンプルへの追求という姿勢はアップルの初期パンフレットの表紙に

大きく掲載された言葉が物語っている。

「洗練を突きつめると簡潔になる」

Simplicity is the ultimate sophistication.

– レオナルド・ダ・ヴィンチ –

レオナルド・ダ・ヴィンチが残したこの言葉こそ普遍的な形そのものだ。

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奥山 清行PHP研究所

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さなすけ

会社経営、個人事業主。 妻と子とサスケ(オカメインコ)とクロムハーツを愛し、筋トレに目覚めたブロガーです。

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