こんにちは。
山中慎介選手の復帰戦を楽しみにしていました。
復帰の相手は黒星を付けられたルイス・ネリ。
山中選手がどのような内容でネリに立ち向かうのか、そして神の左はネリを沈めるのか!?
と楽しみにしていたら、ネリは体重超過で王者剥奪。
体重差のハンディキャップを背負ったまま、山中選手は試合に挑む事になった。
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初戦の因縁
具志堅用高氏が持っている日本記録にボクシング世界王座13連続防衛がある。
その偉大な記録に挑んだのが当時世界チャンピオンだった山中慎介選手。
そして、その挑戦者としてリングにあがったのが、ルイス・ネリです。
2017年8月15日は記録の掛かった試合だけに周囲からの注目も大きかった。
神の左と呼ばれるブローがさく裂するのを誰もが待っていた。
しかし、4ラウンドに挑戦者が猛攻を仕掛けロープに詰まった時点でトレーナーが早々にリングに飛び込んだ。
その瞬間にTKO負け。
僕も止めるが早いと感じた。
なぜなら山中選手には「神の左」と呼ばれる強烈なブロー(パンチ)があるからです。
あの猛攻を受けるなかで山中選手の左拳にはまだ生気がみなぎっていたように感じた。
山中選手は世界の舞台で培った経験で必殺のパンチを当てるタイミングを掴んでいる。
勘違いしている人も多いと思いますが、「神の左」はパンチ力だけの代物じゃなくて山中選手が掴んだ「タイミングの芸術」なんです。
一瞬の隙をついて繰出す必殺の左ブロー。
対戦相手は「来る」と分かっているのに避けられない攻撃。
それが、神の左です。
元世界チャンピオンの長谷川穂積氏は挙心論というコラムの中で神の左を「絶対音感」というメタファーで語っている。
試合を止められるまでクリンチに逃げなかったのは、限界ギリギリのピンチの中でも、自分のパンチが絶対に当てられるという本能があるからだ。
僕も同じで、そういう場面でもクリンチせず打ち勝てる自信があった。
周りから見れば危ない場面でも、自分には当てられる確信があり、実際に打ち勝てる。“絶対音感”のようなパンチの“絶対当て勘”が、この試合では作用しなかった。
そう、ルイス・ネリは山中選手の絶対音感を外してチャンピオンになった。
ドーピング疑惑
新王者となったルイス・ネリでしたが、ここでドーピング疑惑が浮上する。
ドーピングとは筋肉増強剤など、人間が本来鍛えたうえで向上するであろう身体能力を薬の力によって高める違法行為をいう。
山中選手との試合前である7月27日に、帝拳ジムの要請で抜き打ち検査を行った。
その結果、ルイス・ネリ氏に筋肉が増強する作用もつジルパテロールに陽性反応が出たという。
試合前(7/27)にドーピング検査をしたが、結果は試合が終わった(8/22)に知らされた。
試合中止の早さと、ドーピング疑惑が山中選手の再戦へと大きな弾みをつける事となった。
WBCはネリが過去にドーピング違反が無かったことと、陽性反応を示したのは試合でなはなかったこと、また来日して行われた検査は3度のあったが、その全ての検査で陰性だったという結果を踏まえて、ネリから検出されたジルパテロールは食事に使われた牛肉に含まれたものが反応したと結論付けた。
なんだかスッキリしない空気の中、2018年3月1日に向けて時間が流れ始める。
2キロオーバーでの計量
午後1時から始まった計量。王者・ネリが先に計量台に上がった。30秒を過ぎても結果が出ない。不穏な空気が漂った。
コールされたのは55・8キロで2・3キロも超過。「ふざけんな、お前!」。対面にいた山中は周りにも聞こえるような声を出し、ネリをにらみつけた。許せない。山中、涙で「ふざけんな、お前!」ネリ体重オーバーで王座剥奪
URL(http://www.hochi.co.jp/sports/boxing/20180228-OHT1T50277.html)
リンク先のスポーツ報知がSSLではないためリンクを貼っていません。URLを打ち込んで下さい。
ボクシング経験者なら分かるでしょうが、軽量当日に2キロ以上オーバーってあり得ません。
夏休みの宿題(小学生)でいえば、日記を全くやってなかったレベルです。
この後、ネリは再度計量に臨みましたが1キロ減っただけ。
結局1.3キロオーバーです。
ボクサーは試合前に自分との闘いがある。
それが減量です。
山中選手はしっかりと体重を落としました。
無駄な肉がない身体を見ればわかります。
しかし、ネリは自分との闘いをまず逃げた。
そして体重オーバーのまま試合が続行された。
減量をした山中選手は、減量をしていないネリと戦うことになる。
これは山中選手が望んだリベンジではないでしょう。
山中選手はハンディキャップを背負ったまま闘った
ボクシングは階級制のスポーツです。
なぜ階級制に分かれているかというと、身体が大きく体重が重い方が有利だからです。
体重差がある方がなぜ有利かは以下の記事にまとめています。
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【ボクシング】ボクサーはなぜ過酷な減量に挑むのか?ハングリー精神の裏に隠された謎に迫る
By: MartialArtsNomad.com ボクシングと聞いて思い浮かぶの事の一つに過酷な減量があります。 食事を ...
だからこそ、厳格に体重制限が設けられている。
にも関わらず世界タイトルマッチと銘打った試合は中止されることなく続行された。
ネリから王者の資格を剥奪したとしても、現実に試合は行われたのです。
ここが大きな問題点と言えるのではないでしょうか。
試合は序盤からネリのペースでした。
いや、このリングの上へ向かうまで全てネリのペースで行われていたのかも知れません。
ネリはチャンピオンになり自信もつけて、以前よりも強くはなっていました。
そして正面から打ち合いにいき山中選手をマットに沈めます。
減量を失敗したネリへの失望、体重差によるハンディキャップ、全てが山中選手の裏目にでました。
リング上でハシャぐネリ陣営
ネリ陣営のハシャギようを見ていると、余程嬉しかったんだと思う。
ネリvs山中戦は納得できない。
軽量で2キロオーバーって舐めてる。ネリ陣営がリング上でハシャいでいるのもムカつく。
これからは世界タイトルマッチで体重オーバーは試合中止で、損害賠償制にすれば良い。
ああ納得いかん。— sanasuke (@sanasuke) 2018年3月1日
体重をオーバーした謝罪の念なんて、感じられない。
ネリは自制心がなさそうだから、仕方がないにしても周りが止めなきゃいけない。
メキシコの国旗を持ち込みリング上で掲げていたけど、勝手に国家を背負っちゃいけない。
ネリはもう世界チャンピオンじゃないんだから、国を背負ってないんだよ。
全員がネリの姿を見て思った。
早くリングから去れ
体重オーバーは強制的に試合中止にするべき
ツイートした通り、僕は世界タイトルマッチでの体重オーバーは試合中止にするべきだと思う。
しかし、その難しさはテレビ放映にもあることは分かります。
ゴールデン番組の時間帯の枠を取るだけでも莫大な費用が発生しています。
関東のキー局深夜枠でも3000万円です。
山中選手の試合はゴールデンなので、さらに上をいくでしょう。
スポンサーとの絡みもあります。
この世界タイトルマッチに向けて大勢の人間が動いている。
試合で体重をオーバーすれば、違約金を発生させて強制的に試合を中止にさせるべきでしょう。
なぜ「強制的」といえば、試合続行の可否を山中選手に任せれば「ノー」とは言えないからです。
試合に関わった人たちの事を何よりも大切に考える山中選手は試合を受けるしかないんです。
責任感の強い山中選手が断れるわけがない。
だから、強制的に試合中止にするべきなのです。
先述したように、体重差があるということはそれだけでハンディキャップなんです。
また、ネリのタイトル剥奪でさらに緊張の糸も切れるでしょう。
しかも、厳しい減量をしていないネリはスタミナなんか気にせず前に出られる。
こんな不公平な試合は「試合」と呼べるものじゃない。
ボクシングはケンカじゃありません。
ルールに則った上で競技を競い合う格闘技(スポーツ)です。
体重制限はハンディキャップをなくして、選手の身を守るためにもある。
真面目に取り組んでいる選手の身体を守るためにも強制的な中止をさせるべき。
体重オーバーには違約金も発生させるべきでしょう。
ちなみに、日本のボクシングで世界チャンピオンへの登竜門と言われる新人王戦でも違約金はあります。
僕は新人王戦の試合前に練習中に拳を骨折しました。
試合に出られなくなったうえに3万円徴収されました(泣)
新人王戦で3万円の違約金です。
世界戦なら300万円くらいかな。
今回の試合で山中選手の息子さんが泣いていたのが、いまでも心に残っている。
息子さんも辛いけど、お父さんはもっと辛いでしょう。
僕が納得できないのは、試合後のルイス・ネリの態度でしょう。
辰吉丈一郎がウィラポンに倒されたとき、ショックだったけどウィラポンの紳士的な態度に僕は救われた。
気持ちの面で仕方ないと思えた。
しかし、今回のネリには腹の虫がおさまらない。